イタリア料理講習会レポート・後編
先週に引き続き、
Federcuochi Club Giappone(イタリア調理師協会)の講習会レポート・後編です。(前編はこちら)
「現在のローマ料理」をテーマに、山崎シェフの調理実演と、吉川名誉会長(エル・カンピドイオ オーナーシェフ)の解説で5品をご紹介。後編はプリモとセコンドのお話を。
ローマの名物パスタといえば・・・
「カルボナーラ」「カチョ エ ペペ」そして、今回ご紹介した「アマトリチャーナ」です。
<primo piatto>
Bucatini alla matriciana ブカティーニ アマトリーチェ風
ペコリーノ・ロマーノ(羊乳のチーズ)とトマトで作るシンプルな「トマトパスタ」と侮るなかれ、実に味わい深いパスタ料理。パンチェッタではなくグアンチャーレ(豚ほほ肉の塩漬け)を使うのがローマの伝統的なレシピ。その味の違いは歴然で、「グアンチャーレ」にしみ込んだスパイスとハーブの豊かな薫りが鼻を抜け、熟成された脂の甘みと旨味が口いっぱいに広がり、後をひく美味しさです。仕上げにふりかけるペコリーノ・ロマーノの香りがまた食欲をそそります。
※カルボナーラにも同じく「グアンチャーレ」を使うのがローマの流儀。
※ブカティーニは穴の空いたロングパスタです。
山崎シェフが初めてアマトリチャーナを食べたのは、伝説のイタリア料理店「カピトリーノ」でした。吉川シェフの店!日本のイタリア料理ブームの先駆けですから、当時の日本で、本場ローマと同じ味のパスタが食べられる店は他になかったのでは? 初めての美味しさに感動し、忘れられないパスタ料理となりました。
そんな自分(山崎シェフ)が、まさかアマトリチャーナの講習する身になるとは・・・・
続いて <secondo piatto>
Polpettina di coda alla vaccinara ポルペッティーナ オックステールの ローマ風
コーダ・アッラ・ヴァチナーラとは、牛テールの意味。牛の尻尾をセロリやトマトと一緒に柔らかくなるまで煮込んだ
「Coda di bue alla vaccinara オックステールのローマ風煮込み 」はローマの伝統料理です。これを現代風に小さく丸めてポルペッティーナ(肉団子)に仕上げました。牛テールの旨味と、シナモン、クローブなどスパイスの複雑な薫りがたまらず・・・ワインくださ〜い。と言いたくなる味。
ここでは、シェフも愛着のあるローマの下町テスタッチョのお話が。
テスタッチョは、古代ローマ時代から1960年代までローマ市立の屠殺場があったエリア。その周辺には今でも内臓専門店が多くあり、トリッパや牛テールの煮込み料理が味わえます。
ローマは「イタリアでもっとも内臓を食べる地域」といわれています。その背景には、ローマの歴史と貴族の食文化が深く関わっています。
牛肉の上質な部位を食べる貴族達の為に、テスタッチョでは牛の屠殺が大量に行われていました。そして、残りの内蔵部分は庶民の胃袋へ。庶民が残り物の内蔵を「美味しい内蔵料理」へと昇華させ、今に至ります。
内蔵料理は独特の臭みや食感があり、苦手という方も多いのでは?
苦手という方でも、是非一度食べて頂きたいのがこちら。「トリッパのトラステヴェレ風煮込み」
吉川シェフのお店「エル・カンピドイオ」でも提供しています。初めて食べれば感動!爽やか〜なミントの香りでやみつきになる味です。
トラステヴェレの対岸にあるのがローマの下町テスタッチョ。ローマ最古の青空市場(現存)もあり、庶民の食文化が育まれたエリア。現在、屠殺場跡地は再開発され、美術館やナイトスポットなど新たな魅力も加わり、若者にも人気のエリアでもあります。
講習会レポート 前編&後編では収まりきらず。
余談はまたいつかご紹介します。
ローマ料理とビステッカ
Er bisteccaro dei magnacconi
エル ビステッカーロ デイ マニャッチョーニ
11:30-14:00 L.O. / 18:00 – 23:00 L.O. (月曜定休)
TEL : 03-6264-0457 Menuページ